【PR流情報収集術】アイデアマンに聞くSNS徹底活用法!
広報・PR担当者にとって、企画を考える土台となるのが日頃の情報収集。さまざまな業界の案件を担当するPRパーソンは、社会の動きへの感度を高め、トレンドをつかむ力が求められます。
今回は、日用品から食品、さらに地方自治体、B to B企業まで幅広いジャンルでPR戦略の立案を手掛けるPR戦略局の福永に、“PRパーソン流”の情報収集術を聞きました。
Twitterフル活用!日常に取り込む情報収集術
- 福永さんは以前もピアスタの記事で「KMCのアイデアマン」として登場していただきました!これまでに、どのようなお客様を担当されてきたのでしょうか?
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福永:食品や日用品、BtoB企業、地方自治体などさまざまなジャンルでPRの企画立案を担当してきました。現在は、Twitterなど企業アカウントのSNS運用コンサルティングも行っています。
- KMCgroupでは毎週全社ミーティングを行っていますが、その中でPRのアイデア出しをする機会があります。なかでも福永さんは面白い企画が次々と出る印象ですが、良いアウトプットのため、普段どのようにして情報を集めていますか?
福永: 今はSNSが中心ですね。「よし情報収集するぞ」って思わなくても、情報が集まる環境をつくらなきゃいけないと思い、たまたま自分の場合はTwitterが一番合っていました。
Twitterは行き帰りの電車でも仕事の合間でも四六時中見ているので、自分にとって1番触れるメディア。そこと一体化しちゃえば、自然な形で情報が入ってくるじゃん!っていうのがきっかけです。
- SNSは次々と大量の情報が流れてくるイメージがあります。具体的に集めた情報はどのように活用しているのですか?
福永:見ていて「これ使えそうだな」みたいなものがあった時は、忘れちゃうので画面のスクリーンショットを「ネタ帳」という写真フォルダーにどんどん貯めていきます。それ以上細かくExcelにまとめようとすると、面倒くさいからやらなくなっちゃうので、スクショぐらいが丁度良いです。
後からこんなものあったなって探して見直すこともあれば、何も思いつかない時はひたすらネタ帳を眺めて何かヒントにならないかなーと探すこともあります。
- 今の情報収集のスタイルはいつ頃確立されたのですか?
福永:意識したのは新型コロナウイルス禍になってからです。それまでは毎日、このサイトを見ようっていうものを20個決めて、Googleを立ち上げたらその20個のウィンドウが立ち上がるように設定して、強制的に見るようにしていました(笑)。結局、見ている途中で飽きて長続きせず、上手くいかなかったです。
- PRパーソンとしてTwitterを使いこなすポイント、教えてほしいです!
福永:フォローする量より質だと思っています。Twitterでは、自分と興味の対象が合うユーザーや、面白い情報を提供してくれるユーザーが一定数います。そういう人を探すまでは大変かもしれないけど、2、3人見つけたら、そこから芋づる式で似たようなユーザーに出会えます。意外と何十人もフォローするよりは、2、3人ベンチマークになる方がいて、その周辺から入ってくる情報がベースになっているって感じですね。
検索はGoooooooooogleまで徹底リサーチ!
- 広報・PRの仕事をしていると、自分の興味・関心があるもの以外のジャンルも担当することが多いと思います。普段からいろんな情報にアンテナを立てているイメージでしょうか?
福永:普段は無理しない範囲で情報収集のベースを作っておいて、案件を担当する際など必要に迫られたらリサーチするようにしています。
- 無理しない、というのが重要なのですね。ぜひ、リサーチ術も教えてほしいです!
福永:リサーチに関してはすごく時間をかけています。提案書1枚を書くのに、恐らく8割はリサーチに費やしていて、最後の2割ぐらいで書き上げるという感じです。
- 8割もかけるんですか!何かテクニックはありますか?
福永:もちろん上手いリサーチ方法はいろいろあります。例えば、Googleで「商品名 ●●」と検索すると、いろいろ出てくると思います。しかし結局、最大公約数的な話というか、「そんなこと知っているよ」という話にしかならないです。
個人的には、商品名だけを検索してひたすら40ページぐらい見ます。その商品名とどういうキーワードが結びつくか、世の中の人たちがどう発信しているのかを見ています。近道は考えず、いかに遠回りしてネタを拾い集めてくるかということを心がけています。
- 普段の情報収集とは打って変わって、徹底的です。
福永: Twitterで何千件というつぶやきを見ているなかで、2人ぐらい、お菓子を変わったアイデアで使っている方を見つけました。もちろん1000分の2かもしれないけど、「もっと大きく広めたら面白いと感じてくれる人がいるんじゃないかな」と着想を得て、企画を思いついたこともあります。
次来るトレンドは?「SNS×広報」の可能性
- 福永さんは企業SNSの運用コンサルティングも手掛けています。企業がTwitterなどSNSを使って発信するメリットは何だと思いますか?
福永:従来の広報が発信してきた、公式ホームページとかプレスリリースでは伝えられなかった、個性や失敗も含めた人間らしさを埋めてくれるのがSNSの可能性だと思っています。
人でも、ブランドでも、好きになる時の要素って公式ホームページに書いてあるような硬い話ではなく、ちょっとした人間味だと思います。そのきっかけを発信できる場がSNSなのかなと思っていて、広報担当者からすると大変ではありますが、今までできなかった表現ができるようになったとも言えます。
- SNSに日頃から触れておくことも重要になりそうですね。気をつけないといけない点もありますか?
福永:Twitterは比較的、高齢者のユーザーが少ないとか、発信力が強い人が多いという特徴もあるので、ある投稿も「これは総意じゃ無いよね」という点は注意をしないと、勘違いしてしまいがちです。SNSに関わらず、WEB、テレビ、新聞でも情報をどう受け取り、解釈して活用するかは受け手側の問題です。
- 今、個人的にアツいと感じているトレンドはありますか?
福永:「SNSドラマ」かなと思っています。例えば、家具・インテリア雑貨のECサイトを運営する会社が、YouTubeで自作のドラマを公開し、サイトで取り扱う家具などをドラマ内に忍ばせています。今までは「プロダクトプレイスメント」と言って、テレビドラマや映画で自社の商品を小道具として使ってもらうという手法はありました。
しかし、ドラマごと自分たちで作ってしまい、商品だけではなく商品を使っている暮らしの世界観全てを発信していくという手法が出てきたのは新鮮です。TikTokでショートドラマに取り組む大手企業もあり、クオリティーや尺はさまざまですが、ドラマ仕立てでブランドを発信する方法は面白くなっていきそうだなと感じています。
- 最後に、集めた情報をPR企画に生かすためのアドバイスをお願いします!
福永:全くのゼロイチで新しいアイデアを生むのは難しいし、生まれたとしても斬新すぎるものはメディアや広報が発信するものにおいては受け入れられないこともあります。アートなら一部の人に価値をわかってもらえればいいという意見もあるかもしれません。広報はその真逆かなと思っていて、例えば「アレンジレシピ」という言葉は、何百回も使われていても話題になるし、面白いと思う人がいます。 全く新しい訳じゃないけれど、今の時代に合っているとか、ほんのちょっとだけ聞いたことがない要素が入っているとか、「ちょっとだけひねる」というのが良いPRにつながるのではないかと思います。そのひねるポイントを見つけるのは楽しいですね。
福永圭佑
大学卒業後、大手広告代理店 2社を経て、2018年にKMCgroupへジョイン。食品、日用品、BtoB、地方自治体をはじめ、あらゆるジャンルのPRプランニングやSNSコンサルティングを行っている。